第2回未来応援ネットワーク事業の実施報告書を掲載いたします
全国フードバンク推進協議会では、2018年4月から2019年3月の間、子供の未来応援基金の支援を受け、「フードバンク団体への組織基盤強化事業」を実施しました。
助成事業では、以下の5項目の活動に取り組みました。
1. 組織基盤強化を目的としたフードバンク団体への伴走支援
2. オンラインの WEB 会議や直接訪問によるノウハウ支援
3. 全国フードドライブキャンペーン
4. 食品企業開拓及びマッチング
5. シンポジウムの開催
事業の詳しい内容や活動結果については、以下の報告書にまとめてありますのでご覧いただけますと幸いです。
◆事業目的
本事業は、全国のフードバンク団体が行う子どもを含む困窮世帯への支援を拡充するために、フードバンク団体の組織基盤強化や食品提供企業の開拓、及びフードバンク団体とのマッチングによる寄贈食品の分配、さらに全国的な広報やイベントの開催により、市民や企業のフードバンク活動への参加を促進することを目的として実施いたしました。
◆事業内容
1. 組織基盤強化を目的としたフードバンク団体への伴走支援
①目的
外部専門機関の協力のもと、フードバンク団体に対して継続的な伴走支援を行うことで、個別の課題の解決や組織基盤の強化を図る。
②実施内容
助成事業終了後も、全国フードバンク推進協議会が独自に伴走支援を行えるように、弊会の人材育成及びノウハウの蓄積を実施(コンサルタント養成講座に事務局2名が参加)。
フードバンク2団体に対して組織診断、優先課題の抽出、解決策の立案及び実施をサポート。
③実施日(期間)
2018年7月~9月(通信講座「NPO実践マネジメント入門講座」)
2018年9月~12月(人材育成「NPOマネジメント支援コンサルタント養成入門講座」)
2018年12月~2019年3月(フードバンク団体への組織基盤強化支援)
④実施回数
通信講座(NPO実践マネジメント入門講座)の受講
NPOマネジメント支援コンサルタント養成講座(座学7回、実地研修2回)
組織基盤強化支援(対象の2団体へ、延べ5回の訪問)
⑤連携団体名及び役割
公益財団法人パブリックリソース財団と連携。コンサルタントの人材育成、組織基盤強化支援に対する助言、組織診断の実施にご協力いただきました。
フードバンク団体への基盤強化支援
フードバンク団体への基盤強化支援
2. オンラインの WEB 会議や直接訪問によるノウハウ支援
①目的
WEB会議や直接訪問を通して、優先順位の高い課題や重要な情報について、国内フードバンク団体との情報共有、ノウハウ支援等を行なうことで、国内フードバンク団体の発展をサポートする。
②実施内容
重要な情報の共有、既存の団体へのノウハウ支援、新設団体の立ち上げ支援を実施。
③実施日(期間)
2018年4月~2019年3月
④実施回数
WEB会議6回(自治体向けアドボカシー、フードドライブ、ファンドレイジング活動等について)
直接訪問18回(立ち上げ支援、自治体向けアドボカシー、フードバンク支援税制の説明等)
⑤対象者・数(団体)
フードバンク団体等、38団体
⑥その他
その他の方法によるノウハウ支援として、電話(27回)、メール(43回)、資料提供(41回)、来所による対面支援(5回)、合計116回のノウハウ支援を実施。
WEB会議によるノウハウ支援
直接訪問によるノウハウ支援
3. 全国フードドライブキャンペーン
①目的
給食のない冬休み中の子ども達への支援を充実させるため、全国各地のフードバンク団体間で時期を合わせて全国的なフードドライブ(一般市民から食品を集める取り組み)キャンペーンを行なう。
②実施内容
加盟団体と連携してフードドライブを実施、加盟団体へのノウハウ支援、実施方法に対する助言。
広報の効果を高めるためのにインフルエンサーへの協力を依頼。
③実施日(期間)
2018年12月1日~2019年1月31日
④対象者・数(団体)
フードバンク団体18団体が181ヶ所の食品回収拠点を設置して実施
集まった食品の重量の合計は42.9トン
⑤その他
今回は女優の石田ひかりさんにインフルエンサーとして協力していただき、写真と応援メッセージを各団体の広報物(HP,facebook、プレスリリース)へ掲載させていただき、集まった食品の箱詰め作業にもご参加いただきました。
4. 食品企業開拓及びマッチング
①目的
食品企業に対して食品寄贈の支援要請を行う。また、各地のフードバンク団体に寄贈食品をマッチングすることで、支援に必要な食品を提供する。
②実施内容
企業への支援要請を行う。
企業からの食品寄贈の受け入れ及び、各地のフードバンク団体とのマッチングを実施。
③実施日(期間)
2018年4月~2019年3月
④実施回数
企業への支援要請(26社)
食品提供回数(延べ31社)
食品提供重量(57t)
食品以外にも物品や什器の寄贈の仲介も実施
⑤対象者・数(食品寄贈先)
全国のフードバンク団体、延べ231団体
フードバンク団体への食品提供
5. シンポジウムの開催
①目的
子どもの貧困問題に関する周知啓発を目的としたシンポジウムを開催する。 特に潜在的な支援者である企業関係者の参加を促す。
②実施内容
企業関係者や市民向けに、子供の貧困問題や企業のフードバンクや子ども食堂への支援を増やすためのシンポジウムを開催。
2018年12月に農水省、国税庁が明確にした、フードバンクへの支援税制についても企業向けの説明を行った。
③実施日(期間)
2019年3月19日
④実施場所
東京都千代田区神田鍛冶町3-3-3 高遠ビル
⑤対象者・数
33名、食品関連企業参加者は10名
フードバンク団体と企業との連携事例の説明
フードバンクへの食品寄贈に係る支援税制の説明
◆事業によって得られた成果
フードバンク団体への組織基盤強化支援については、2団体に対して支援を行うことができた。また、支援者側の人材育成を重点的に行い、事業終了後も弊会が継続してフードバンク団体の組織基盤強化支援を行えるような体制を整えることができた。そのため、助成事業終了後も継続的に伴走支援を行えている。
オンラインによるWEB会議や訪問による直接的なノウハウ支援については、オンラインでの会議は当初想定よりニーズが少なく、目標の12回に対して、6回の実施にとどまったが、直接訪問による支援は目標の8回に対して、18回の実施となった。また、その他のノウハウ支援として、電話やメール等で116回の支援を行ったことで、新設団体の立ち上げや、既存の団体が抱える課題の解決、先進事例の他地域への共有と実施につながった。
全国フードドライブキャンペーンについては、参加団体が前年度の10団体から18団体まで増加したが、目標の25団体までには至らなかった。重量については42.9トンの食品を集めることができ、目標の30トンを上回った。また、本事業ではインフルエンサーに石田ひかりさんにご協力をいただくことができ、全国各地の団体からの広報を通して、一般市民への子供の貧困問題への周知・啓発にもつながった。
食品企業からの食品寄贈については、延べ31社から57トンの食品等を延べ231団体へのマッチングを実施することができ、各団体を通して生活困窮世帯や子ども食堂、児童養護施設等への食品支援に活用していただくことができた。
シンポジウムの開催については、一般市民の参加は少なかったものの、食品企業に対して支援の必要性やフードバンクへの食品提供に対する支援税制について共有をすることができ、参加した企業からイベント開催後に食品を寄贈いただく事例も出てきている。
◆課題と今後に向けて
SDGsが追い風となり、企業は非営利活動への支援に積極的になっているため、連携企業が増加している。また近年、子供の貧困問題に対する社会の認知が進む中で、新設フードバンク団体も急増している。そのため連携企業や支援対象団体の増加に対して、支援に必要なマンパワーが慢性的に不足しており、サポート体制が追いついていない。
今後は増加する支援ニーズに対応するために、本事業の成果、実績を元に企業を対象としたファンドレイジングを積極的に行い、弊会のサポート体制を強化することによって本事業で構築した組織基盤を更に拡大し、国内フードバンク活動全体の発展に貢献していきたい。