フードバンクとSDGs
SDGs 17のゴール
【フードバンクとは】
フードバンクとは、安全に食べられるのに包装の破損や過剰在庫、印字ミスなどの理由で、流通に出すことができない食品を企業などから寄贈していただき、必要としている施設や団体、困窮世帯に無償で提供する活動です。
フードバンクは「食品ロス問題」と「貧困問題」という2つの問題を背景に活動しており、これらの社会課題に対する取り組みは、SDGsの掲げる複数の目標と直結しています。
【SDGsとは?】
SDGsとは、Sustainable Development Goals(持続可能な解決目標)の略称であり、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載されました。
SDGsは17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを理念に掲げています。SDGsは発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり、日本でも積極的な取組が進められています。
【フードバンクとSDGs】
SDGsの17のゴールのうち、フードバンクの活動に大きく関係しているものは、「1.貧困をなくそう」、「2.飢餓をゼロに」、「3.すべての人に健康と福祉を」、「12.つくる責任 つかう責任」、「17.パートナーシップで目標を達成しよう」の5つです。以下に、フードバンクとSDGsの関係性についてご説明します。
貧困問題
フードバンクの活動背景の一つである「貧困問題」に取り組むことは、「1.貧困をなくそう」、「2.飢餓をゼロに」、「3.すべての人に健康と福祉を」の3つの目標に直結します。
「1.貧困をなくそう」は、あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つことを目指します。「貧困」と聞くと、発展途上国をイメージする人が多いと思いますが、コロナ禍により日本の貧困問題も深刻化しています。
また日本は、OECD諸国の平均と比べて「相対的貧困率」が高くなっています。 相対的貧困率とは、国民全体の所得の「中央値」に対し、その半分に満たない所得の世帯人数の割合を示す数値です。
日本の相対的貧困率は15.8%で、子どもの貧困率は14%、実に7人に1人の子どもが貧困世帯で暮らしています(2018年、新基準)。さらにコロナの直撃を受けてより一層深刻な状況になっています。
フードバンクは、このような貧困層を支援するため、必要な世帯や施設、団体に食品を提供しています。
世帯への提供
施設への提供
食品ロス問題
「食品ロス問題」を解決することは、「12.つくる責任 つかう責任」の目標に合致します。食品ロスとは、まだ十分食べられるのにもかかわらず廃棄されている食品のことで、日本では一年間で、食品関連事業者から約324万トン、一般家庭から276万トン、合計600万トンもの食品ロスが生まれています。これは、世界全体の食糧援助量(2019年、420万トン)の約1.4倍に匹敵する量です。
「12.つくる責任 つかう責任」のターゲットには、「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる」、「2030年までに廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。」が含まれています。
フードバンクでは、品質に問題はないものの一般流通に出すことができず、そのままだと食品ロスになってしまう食品を、必要としている施設や団体、困窮世帯に無償で提供することで食品ロスを削減しています。このようにフードバンク活動は食品ロスや廃棄物の大幅な削減を目指すSDGsの目標に合致した活動です。
パートナーシップ
フードバンクは行政との連携や、企業から食品や自動車などの寄付のご支援をいただくなど、行政や企業と協働しながら活動していています。
これらの取組は、効果的な公的、官民、市民社会のパートナーシップが奨励されている「17.パートナーシップで目標を達成しよう」という目標に合致します。
自動車の寄贈
企業の協賛を得てSDGs推進イヤーを宣言
食品等の寄贈
自治体と子どもの支援に関する連携協定を締結
海外では活発に行われているフードバンク活動ですが、日本ではまだ実績も少なく、活動を活発化させるための法整備も追いついていません。全国フードバンク推進協議会ではフードバンク活動の推進に向けて、関係省庁への政策提言や、子供の未来応援マッチングネットワーク推進協議会への参画など、行政と連携して取り組んでいます。
首相官邸でのフォーラムに出席
坂本哲志孤独・孤立対策担当大臣に要望書を提出
子供の未来応援マッチングネットワーク推進協議会への参画
食品ロス削減推進法の成立
【ご協力のお願い】
フードバンク活動は「食品ロス」と「貧困問題」の解決手段の一つとして社会的な関心が高まっています。さらに新型コロナウイルス感染拡大の影響で、収入が減少した家庭が増加している中、フードバンクに対する社会的なニーズがより一層高まっています。
コロナ禍により日本でも貧困が重度化している一方で、日本はフードバンクの普及が遅れています。全国各地のフードバンク団体は、支援用の食品やノウハウ、運営費の不足など共通の課題を抱えているためです。これらの課題が団体の成長を阻害しており、食品ロスや貧困問題の社会的課題の解決手段としての役割を十分に果たせていません。
全国フードバンク推進協議会では、SDGsの目標達成に向けて、企業や行政とのパートナーシップにより、子どもの貧困問題や食品ロス削減に取り組んでいます。
皆様のご協力をぜひともお願いいたします。